瓦礫がすっかり撤去された跡の家の土台に、ひな人形がぽつんとひとつ置かれていました。
もしかして、地震の犠牲になられたお子様が大切にしていたお雛さまでしょうか。
それとも、瓦礫の撤去作業中に作業員の方が見つけて置いていかれたものでしょうか。
瓦礫が撤去されてきれいになった家の土台に置かれた品々は、
震災前の静かな日常の中でその品を大切にしていた持ち主の方の息遣いと手のぬくもりをしのばせる
物ばかりでした。
海岸近くの家の跡には、大きなハスキーの縫いぐるみが、真っすぐ海の方を向いて置かれていました。
この縫いぐるみは、きっと、いつまでも海に向かって持ち主の帰りを待ち続けるのだと思うと、
しばらくのあいだ、その場を立ち去ることができませんでした。
大船渡の被災現場には、
命を奪われる寸前まで、そんなことは夢にも思っていなかった犠牲者の方々の無念と、
大切な人を、凶暴な津波に突然奪い去られてしまった方々の声にならない哀しみが、
今もあたり一面に満ちていることを痛いほど感じました。
天に召された方々の魂の安らぎと、
遺された皆様の一日も早いご回復・ご復興を祈りながら、
今、この自分にできることは何かを自問自答し、
とにかく、とりあえず小さなことからでも、
たとえば、被災者の方々のために毎日祈る、ブログの「被災者の皆様への応援花」を続ける、
毎月一定額の義援金を献金するといったようなことから始め、
できることを少しずつ増やしていこう、と思いながら、
大船渡レポートを一応終わらせていただきます。
8月下旬には、また、大船渡に行くつもりです。
2011.6.30 03:23
【東日本大震災による死者・行方不明者数(県別および市町村別)】
http://www.isobesatoshi.com/data/sisya-eastjapan.html