私が大船渡の被災現場に立って最初に目にした光景がこの写真の光景です。
この光景を目にした瞬間、あまりの悲惨さに、私は被災現場の光景を写真に撮る気持ちをまったく
失い、かろうじてこの１枚をカメラに収めたあと、カメラはリュックにしまい込んでしまいました。
すっかり気落ちして、「せっかく来たけど、ここには長居しないで、今日は早目に帰ろう・・」 と思いなが
ら、１０分ほどあてもなくふらふらと現場を歩いていたとき、
足の踏み場もない瓦礫の奥にかすかな紫色の何かがあるのにふと気付いて、
何かに吸い寄せられるようにその瓦礫の中に一歩足を踏み入れました。
薄暗い瓦礫の奥を、じっと目をこらしてのぞきこんでみると、
そこには、板切れの下敷きになった子供用とみられる小さなジーンズのそばで、かわいい紫色の花が
元気に咲いていました。
この小さな花を薄暗い瓦礫の奥に見つけた時の気持ちは、決して忘れることができません。
「あんた、なにしょげてんだい。ごらん、あたしらはこんな薄暗いとこでも元気に咲いてんだよ！」
私は、不覚にも、感極まって思わず涙を流してしまいした。
暗くふさぎ切っていた私の気持ちは、この小さな花から新しい元気と勇気をもらいました。
花たちから元気をもらった私は、それから約３時間、瓦礫の中に咲く花をさがして、
１０キロ近く被災現場を歩きまわり、花たちの姿と、きのうのブログでご紹介した被災現場の現状を
カメラに収めました。
明日は、瓦礫の中で出会った花たちをもう少しご紹介します。
